白馬の悪魔さま 【完】番外編追加

「それは妬けるな」

「揶揄わないでください」

向かい合って座っているのに、目を合わせようとしない私を、椿王子が声に出さずに笑う。
そういう一つ一つに反応している自分が悔しくて、私はガラスの向こうに広がる世界に目を向けた。
星空のような夜景に、思わず「キレイ」と本音が漏れる。

「俺は初めてだ」

「え?」

「これ、乗るの」

不意に、ガラス越しに視線が重なる。

「でも他の観覧車には沢山の女の子と乗ってるんじゃないですか?おモテになるでしょうし」

きっともう数え切れないくらいに、こんなデートはしているのだろう。
やっぱり腹が立って眉を顰めると、男は「あるにはある」と答えた後「でも一人だけだ」と付け足した。

別に知りたくて聞いたわけじゃないのに。
そんな風に言われたら、嫌でもあの写真を思い出す。

「私は、二番目ですね」

口に出したら、すごく惨めな台詞だった。

「それを言うなら俺もだろ?」

「……6人目です」

「は?」
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