白馬の悪魔さま 【完】番外編追加
「ここ以外も含めたら、観覧車に誘われたことは何度もあります」
そう言ってまたガラスに顔を向ける。
私、何を言っているのだろう。こんなことはリアっても意味ないのに、馬鹿みたいだ。
だけどその直後、身体が傾くように揺れる。
「なんですか!?」
突然立ち上がった椿王子が、私の隣に座り直す。
「いや、可愛くないなと思って」
「え?」
「嘘でも俺が初めてとか言えないわけ?」
「……そんな嘘、意味がないです」
子供みたいにムキになって口を開く私を、椿王子はただ見つめる。なんかもう、すごく居心地が悪い。
「なんですか?」
「そういう時はさ、その男たちとキスとかしちゃうの?」
「キス?」
「ほら、あーやって」
言葉と一緒に動いた指先を追って視線を動かすと、私達の前に乗ったカップルが唇を重ねる姿が見えた。
「覗きとか趣味悪いですよ」
「あんなの、見て欲しいって言っているようなものだろ」
「……若さですよ」
見ていられない熱い光景に目を逸らす。