今夜、夫婦になります~俺様ドクターと極上な政略結婚~
怜士の言ったとおり、絨毯になっている床、壁や天井も、設置されている棚類やデスクなどを含めても特に目に留まるところはなかった。
一通り拭き掃除をし、最後に絨毯の清掃を行なっていく。
本棚の前から丁寧に作業をしていきながら、ふと、デスクについて書き物をしている怜士の手元が目に留まる。
何を書いているのかと見てみると、そこには診療情報提供書とあり、書面の下部に署名をして判を押していた。
どうやら紹介状の返事を書いているようだ。
その傍らには『鷹取怜士先生 御机下』と、まだ開封されていない何通かの紹介状が重ねて置かれてある。
「どうした?」
「あっ、いえ……」
ついぽけっとその手元を見てしまっていた沙帆は、慌ててカーペットクリーナーの柄を握る。
再び書面に目を落とした怜士の横で掃除を再開しながら、沙帆は話しかけていいものかと遠慮がちに口を開いた。
「いつもの大学病院と、ご実家のこの病院と、お忙しいんですね……」