今夜、夫婦になります~俺様ドクターと極上な政略結婚~
沙帆には怜士の仕事の内容は詳しくはよくわからない。
ただ、二箇所の病院を行き来し、外来もオペにも入り、当直もしているのだから多忙でないはずがない。
「まぁ……自分の限界を超えない範囲でやってるつもりだから、そこまでキツいと思ったことはない」
「そう、ですか……」
「それに、好きでやってる仕事だからな。毎日あっという間に終わってく」
そう話す怜士の横顔は穏やかでいて、書面に落とされた目はギラギラと輝いて沙帆の目に映る。
心から好きだと思っていることがありありと伝わってきて、沙帆は黙って自分の仕事の続きを再開した。
「あ……そういえば……」
怜士の仕事について話していたら、ふと、昨日の出来事が思い出された。
突然現れて、敵意をむき出しにした視線で沙帆を凝視し、極め付けには「誑かさないで」。
あの咲良という彼女は、怜士の患者なのだろうか。
「昨日、病院で女の子に話しかけられまして……女の子といっても、十代後半くらいの」
「咲良か」
「えっ……」