今夜、夫婦になります~俺様ドクターと極上な政略結婚~


二人の住まいのタワーマンションからほど近いスーパーマーケットに、怜士は沙帆のお願い通り立ち寄った。

すんなり駐車場に入ったけれど、あのマンションの部屋を購入してから今日までこのスーパーに怜士が来たことは一度もない。

今日寄ってくれと言われなければ、きっと入ることもなかっただろうと、入り口付近でカゴを手にした沙帆を目に怜士は思っていた。


「あっ、すみません」


怜士がそのカゴを取り上げると、沙帆はすかさずペコっと頭を下げる。

言おうとしてというわけではなく、自然と謙虚な姿勢が身に付いているといった感じだ。

両親からたまには見合いでもしてみないかと言われて見せられた写真に、怜士がぎょっとしたのは言うまでもない。

沙帆との出会いは事故的なものだった。

あの日、怜士はあのホテルで行われていた心臓病学会の学術大会後にある、イブニングセミナーの講師として招かれていた。

会場へと向かおうとホテル一階フロアを歩いている時、向かいからふらふらとやってきたのが沙帆だった。

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