今夜、夫婦になります~俺様ドクターと極上な政略結婚~


出来上がった料理を、沙帆はテキパキとダイニングテーブルに運んでいく。

向かい合わせに用意した席の中央には、真ん中に食器類を買いに出かけた時に買ったランナーが敷かれている。

「温かいうちにいただきましょう」と沙帆に言われ、怜士は先に席へとついた。

ここに越してきてから、この広いダイニングテーブルでちゃんと食事をするのも怜士は初めてだ。

こうして、誰かと向かい合って食事をすることなんて想像もしていなかった。

正面から沙帆が怜士を見つめ、手を合わせる。

二人で揃って「いただきます」と言い、フォークを手に取った。


「……本当だ、美味い」

「ですよね⁉︎ 良かった〜」


ランクのいい肉とは違い噛みごたえがある肉だけれど、スパイシーに炒めたご飯との相性がいい。

更に彩りに入れただけと思ったクレソンが味のアクセントになっていて、想像の遥か上をいく美味さだった。


「正直、米を入れた時は〝やっちゃったな〟と思ったけど、ほんと美味いよ」


怜士の言葉に、沙帆はフォークを口に運ぶのを止め、クスクスと笑う。

そして「やっちゃったって、酷いですから」と抗議した。

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