今夜、夫婦になります~俺様ドクターと極上な政略結婚~
しかし、沙帆からしてみればその事実がただただ衝撃的だったのだ。
別にだからと言って言いがかりをつけたつもりでも、そちらのせいでハシゴから落ちたなどと言ったつもりはない。
(なんか、威圧的な人! 顔面偏差値高い人って、内面偏差値低いの?)
口に出せない不満が、沙帆の眉間にしわを寄せる。
それを見つけた鷹取は、不意打ち気味に沙帆の眉間を人差し指で小突いた。
「なっ、なんですか⁈」
「消えなくなるぞ、ここのしわ」
「よっ、余計なお世話です!」
からかうような口調の鷹取に、声を荒げた沙帆に怯む様子は微塵もない。
鷹取は腰を下ろしていたベッドから立ち上がると、ベッドへと片手をつき、上体を起こして座る沙帆にいきなりぐっと顔を近づけた。
途端に沙帆の心臓が跳ね上がる。