今夜、夫婦になります~俺様ドクターと極上な政略結婚~
あんなところで白衣の軍団を引き連れて現れたら、沙帆じゃなくても驚くに違いない。
加えて〝医師〟という存在に敏感な沙帆にとって衝撃の再会だった。
動揺して足を踏み外したのは間違いない。
「それは、この間言ってた〝医者が嫌いだから〟という意味でか」
鷹取の的確な質問に、沙帆の表情が微かに険しくなる。
肩越しに振り向いた鷹取は、沙帆の構えたような顔にまたフッと笑みを漏らした。
「だとしたら、とんだ言いがかりだな」
「え……?」
「俺が医者だろうがなんだろうが、おたくには関係のない話だと思うけど」
「なっ……!」
確かに、鷹取の言い分に間違いはない。
彼が医師だろうと、沙帆が心を乱す必要はないのだ。
まして、そのせいで落下事故を起こしたなどと言われてはたまらない。
「た、確かに、あなたが何をしている人かなんて、私には関係ありません!」