からめる小指  ~愛し合う思い~
「尋、おいで。」

ホテルの入口で固まる千尋。

予想通りの反応に笑ってしまう。

ダブルのベットに固まったのだ。

カーテンを開けて窓の外を覗いて「夕日が綺麗だぞ。」と声をかけると

オズオズ近づいてきた。

巣穴から顔を出して警戒する、小動物みたいだ。

バルコニーに出ると我慢が出来なかったみたいで

「カメラ、カメラ。」と鼻歌混じりに呟いて

カメラを片手に出てきた。

「わぁ!キレイ!!
観覧車と町並みが一緒になって、外国みたい。
ねっ!先生ここに立って。」

スッカリ警戒心の取れた千尋は、カメラマンに早変わりした。

「ちょっと待って。」

一旦部屋に入った俺は、さっき買った三脚を持って行く。

「これなら二人で撮れる。」

「先生、ありがとう!」

和君呼びがスッカリ頭から無くなった千尋は

さっきまであった警戒心すら無くなったみたいで、先生の俺に抱きついてくる。

彼氏だぞ!

安心しきった千尋がシャッターを押す瞬間に………キスをする。

たぶん、『鳩が豆鉄砲をくらった顔』になってるはずだ。
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