桜の舞い散る頃

「えっ、ご実家ですか？って、聡史さんって御曹司なんですか！」
あまりの衝撃で声が大きくてなってしまった。
「ン～、世間的にはそうなるかな。」
‥‥はぁ～、住む世界の違いに思わずため息が出た。付き合えるはず無いじゃない。後できちんとお断りしよう。そんな事を考えていたらチャイムが鳴った。
「ああ、ランチが届いたみたいだ。」
彼は、玄関へ向かってリビングを出て行く。私はただ彼の後ろ姿を見つめるだけだった。
コンシェルジュから受け取ったランチを持ち、ダイニングに向かいテーブルセッティングをする。
「沙耶、こっちに来て。ランチにしよう。」
彼の言葉に従ってダイニングに行き、椅子に座った。テーブルには、デリバリーというには豪華過ぎる、美味しそうなパスタとサラダが並んでいた。
「わぁ～、美味しそう！」
私の大好きなカルボナーラだった。
「沙耶、昨日のお礼も含めてだから、どうぞ召し上がれ。」
からかい半分で進めてくれる彼が、少しだけ可愛いく感じて、つい笑ってしまう。
「フフ、それでは遠慮なくいただきます。」
うーん、クリーミーでパスタに絡むソースが美味しい～！幸せ～。やっぱり美味しい物を食べれるって幸せな事だなぁ。