桜の舞い散る頃
送ると言われても、聡史さんは病み上がりなのに。
「帰りは電車で大丈夫です。お言葉に甘えてお昼は、デリバリーでお願いします。」
私の髪をサラサラと撫でながら、甘い微笑みを返す。
「ン、解った。今日は我慢する。今度は送らせて。」
だーかーらー!その笑顔は破壊力が半端ないんですって!
「‥‥わかりました。」
彼は、コンシェルジュに電話を入れ、パスタランチを頼んだ。
「聡史さん、あの~、一つ聞いてもいいですか?」
私は、ここに来てからずっと気になっている事を、思い切って聞いてみる事にした。
「ああ、一つと言わず気になる事があるなら聞いて。」
私の隣に座り私の頭をポンポンと撫でる。その仕草は恥ずかしいので止めて欲しいのに、私は、トマトになりながら話した。
「‥‥このマンションって、室長クラスには住めないと思うんですが、聡史さんって何者ですか。」
だって、高層マンションの25階って、ウチの会社ではなかなか住めないと思う。じっと彼の顔を見る。
「ここは、俺の実家の持ち物なんだ。会社に近いから俺が借りている。俺には、弟と妹がいる。アイツらもそれぞれ自分の会社に近い所に、実家の持っているマンションに住んでいる。」
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