短編集 【善人のフリした悪人】
「・・・まだ息はあるようだ。」
犬が猿の耳元で"ワン”と一吠えしますが反応がありません。
「・・酒に酔って寝ているのか?」
桃太郎も猿の元まで辿り着き、
その体を少し揺すります。
「・・・・・アッ・・・・ウッ・・・・。」
ようやく猿が・・ゆっくりと閉じていた目を開けました。
「こんな所で何をやっている?」
「・・・・アッ・・ウッ・・。」
「まさか・・・お前も鬼にやられたのか!?」
桃太郎と犬は、どこか怪我が無いか猿の体を慎重に見回します。
「・・・・・・・腹減ったっす・・。」
猿がようやく発した言葉を聞き、犬がツッコミ混じりに耳元でワンと大きく吠えました。
「・・昨日から何も食べてないっす・・。」
「腹が減っているのか。
ではこれを食べなさい。」
桃太郎は腰に付けていたきび団子を取り出すと猿に渡しました。
「・・・・ウキー!!!」
猿はきび団子を見るやいなや、美味しそうにがっつき始めました。
その様子を見た桃太郎と犬は安堵し、もう1粒置いて港まで再び歩を進めます。