短編集 【善人のフリした悪人】


「・・・まだ息はあるようだ。」


犬が猿の耳元で"ワン”と一吠えしますが反応がありません。


「・・酒に酔って寝ているのか?」


桃太郎も猿の元まで辿り着き、
その体を少し揺すります。


「・・・・・アッ・・・・ウッ・・・・。」



ようやく猿が・・ゆっくりと閉じていた目を開けました。


「こんな所で何をやっている?」


「・・・・アッ・・ウッ・・。」


「まさか・・・お前も鬼にやられたのか!?」


桃太郎と犬は、どこか怪我が無いか猿の体を慎重に見回します。





「・・・・・・・腹減ったっす・・。」


猿がようやく発した言葉を聞き、犬がツッコミ混じりに耳元でワンと大きく吠えました。


「・・昨日から何も食べてないっす・・。」


「腹が減っているのか。
ではこれを食べなさい。」


桃太郎は腰に付けていたきび団子を取り出すと猿に渡しました。



「・・・・ウキー!!!」


猿はきび団子を見るやいなや、美味しそうにがっつき始めました。


その様子を見た桃太郎と犬は安堵し、もう1粒置いて港まで再び歩を進めます。



< 26 / 130 >

この作品をシェア

pagetop