短編集 【善人のフリした悪人】


「お待ち下さいお侍殿、お犬殿。」


「・・・なんだ。」


「あなた方は命の恩人っす。
これからどちらへ?」


「・・・・鬼ヶ島だ。
鬼を成敗致す。」


「鬼ヶ島!?」



猿は爪楊枝代わりにしていた木の枝を歯茎に当てるのをやめると、桃太郎の傍まで歩み寄ります。


「ならばあっしも連れていってくださいっす。」


「・・・なぜだ?」


「鬼ヶ島に生えてる“桃”という果実。

あれを一生で一度でいいから食べてみたかったっす。」


「・・・・我らは観光に行くのではない。
去れ。」


桃太郎と犬は、猿にお構いなしに再び足を動かしました。




「チェッ。つまんないの。」







< 27 / 130 >

この作品をシェア

pagetop