短編集 【善人のフリした悪人】
「マキタ。」
「はい。」
「今だから言えるけど・・。
サンタにとって、枕元にプレゼントを置く瞬間は一番の幸せであると同時に・・一番不安に怯える瞬間なんだよ。」
「不安・・?トムさんもですか?」
「私の手、触ってみるかい?」
マキタは差し出されたトムの右手を握った。
そして手袋越しでも分かる震えを感じ取った。
「子供達がこの箱を開ける時、
私達はもうそこにはいない。
開けた瞬間、
どんな表情をしたのか私達は知らない。
・・こちらから手紙をだすけど、その返事は1年経たないと分からない・・ようなものかな。」
「・・・・・・・。」