僕に君の愛のカケラをください
「俺は、葉月とジロウがマンションに帰ってこなくて、正直、もう戻ってこないんじゃないかと気が気じゃなかった」

葉月は蒼真を抱き締めたまま黙って聞いている。

「だけど、信じようって、たまたま仕事が遅くなったからだって、自分に言い聞かせて待ってた」

蒼真は、葉月の両頬を挟んで見つめた。

「でも、大亮が、、、葉月を狙ってるって知って、二人きりで過ごしているって知って、じっとしていることが出来なかった」

蒼真の目にはハッキリと不安が浮かんでいる。

「葉月が、、、」

二人の後ろで、ジロウがガサガサと動いている音が聞こえた。

葉月が心配して振り返ろうとしたが、蒼真がそれを阻んだ。

「葉月が好きだ。ジロウにだって渡したくない」

葉月が真っ赤になって俯いた。

「他の男に目を向けないで。俺だけを見て」

蒼真は、今度はそっと葉月の唇に自分の唇を重ねた。

優しく慈しむようなキスだ。

葉月はうっとりと蒼真を見つめ、

「蒼真さん」

と蒼真の両頬を包み込んだ。

「こんなに愛しいと思える男性はいません。私を萌え殺す気ですか?」

そう言って、葉月は自分から奪うようにキスをした。
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