総長さんが甘やかしてくる①(※イラストあり)
わたしが乗ると、すぐにバイクが出発した。
まだ慣れていないので緊張する。
ただ座っているだけで精一杯で、景色を眺める余裕もあまりない。
目の前の総長さんのことなら観察し放題だ。
筋肉はついているけど、腰回りが意外と細い。
そして襟足。
きっとこれは、チャームポイント。
サイドはそんなに長くないのに襟足だけ伸ばしてるのが、なんだか可愛い……。
「酒屋さんのお仕事って。お酒運んだりとかですか?」
「そうだな。配達に出ることもあるな」
そのときは、トラック運転したりするのだろうか。
……見てみたい。
きっと重いだろうな。
商品の積み下ろしで筋肉がつくとみた。
「お酒、好きなんですか」
「……いや」
それじゃあ、給料面とか待遇で選んだのかな。
それとも通いやすい立地とか?
「なあ夕烏」
「はい」
「お前、俺のこといくつだと思ってる」
――総長さんの、年?
「22……いや、23くらいですか」
「いや」
……もっと年上ってこと?
「18」
「ほんとに!?」
思わずタメ口で反応してしまった。
「老けてて悪かったな」
「ちがっ……」
老けているのではなく。
18でその色気は、反則では……?
「愁さんと、同級生ですか」
「高校に通っていればそうなるな」