イジワル執事と王太子は伯爵令嬢を惑わせる
「そうですね。あなたが一番魅力的で男心を誘うから、とは考えませんか?」

「……!」

 予想もしない言葉に驚いたアディの足がからまって、ルースの足を思い切り踏んだ。

「す、すみません!」

「……アデライード様」

 ため息をついたルースの長い指が、アディの細い腰のラインを、つ、と撫で上げる。その感触にアディは、思わず背筋を伸ばした。

「もっと落ち着いて。王太子妃になられるおつもりでしたら、何があっても決して動揺してはなりません。ほら、こうやって背筋を伸ばして」

 今度は講師の口調でルースが言った。

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