イジワル執事と王太子は伯爵令嬢を惑わせる
長い脚を片方だけ投げ出して座っていた青年は、その様子を見てくすくす笑いながら手にしていた本を閉じた。どうやら、読書をしていたらしい。

「ダンス苦手とか言ってたけど、きれいなステップだったよ?」

 夢中で飛び石を踏んでいたところを見られていたことを知って、アディは顔を真っ赤に染めた。

「僕もよくやるんだ、それ。楽しいよね」

「え、ええ……夕べは、ダンスの相手をしてくれてありがとう。ここで何をしているの?」

「かくれんぼ」

「かくれんぼ?」

 言いながら立ち上がった青年は、明るい日の光の中で見れば涼やかな目元のなかなかの美青年だった。その服装は、飾り気はないがかなり上質なものだ。どこの貴族だろうか、とアディは首をかしげる。
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