イジワル執事と王太子は伯爵令嬢を惑わせる
「そういう人たちがね、モントクローゼス家が困窮していることを理由に、父を領主の座から下ろすつもりなの。今十六歳の私の弟が十八になる時に、伯爵の地位を継ぐための親族会議が開かれるわ。通常なら形ばかりの会議だけど、もしそこで何か言われても、その時に私が王太子妃だったらこんな強力な後ろ盾はないじゃない。誰にも文句は言わせずに、弟を領主にすることができる。弟は、口と性格は悪いけど、きっと父の跡を継いでいい領主になってくれるわ」

 長男しか跡を継げないのが国の決まりだが、例外はある。それは、領主が適当でないと親族会議で認められた場合だ。血族の男性であれば、直系に近いものからその領地を継ぐ資格はあるのだ。
 アディは、その時までに家の財政を立て直しておくつもりだった。そのために王宮で働いて給料をためておこうと思っていた。アディが知る勤め先の中では、王宮が一番給金が良かったのだ。
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