イジワル執事と王太子は伯爵令嬢を惑わせる
「だが……君は……」

「それとも、わたくしはいつまでもあなたのことを好きでいるとでも思っていたのかしら」

 図星をさされて、ブライアンは絶句する。

『わたくしを妻になさい』

 エレオノーラが舌足らずな声で初めてそう言ったのは、まだ彼女の歳が片手で足りる頃だったと、ブライアンは記憶している。

 何が気に入ったのか、彼女を守るための騎士であったブライアンに、エレオノーラはことあるごとに求婚をし続けた。

 女性から婚姻を言い出すのも型破りなら、言い出したのは主君が目に入れても痛くないほどに溺愛している一人娘だ。しかも、十以上も歳が離れている。ブライアンはそのたびに笑顔ではぐらかしてきた。本気になど、できるわけもなかった。
< 209 / 302 >

この作品をシェア

pagetop