イジワル執事と王太子は伯爵令嬢を惑わせる


「なんだかあっという間の騒ぎだったわね」

 アディは、ポーレットと二人でサロンでお茶を飲んでいた。講義は中断となり、ルースは事後処理に出て行ってしまってまだ戻ってこない。

 アディに続けて、ポーレットも、ほう、とため息をつく。

「エレオノーラが王太子妃に名乗りを上げたのは、失恋が理由だった……ということなのでしょうか」

「あのエレオノーラがねえ……」

 当てつけにしても、そこで王太子妃を選んでしまうところがやはりエレオノーラだ、とアディは妙なところに感心する。

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