イジワル執事と王太子は伯爵令嬢を惑わせる
フィルは目を丸くすると、嬉しそうに笑った。

「はいはい。じゃあ、僕は後始末をしてくるから。……テオのそんな顔、久しぶりに見たよ。たしか前に見たのは、怪我をした小鳥を拾った時、誰にも触らせずに世話をしてた時の」

「フィル!」

 ルースに睨まれて、笑いながらフィルは部屋を出ていった。いつの間にか、部屋の中にはルースとアディの二人だけだ。

 アディは自分の胸のリボンを結び直しているルースを見上げる。めがねをしていないし髪も撫でつけてない。見たことない姿でも、やはりそれはルースだ。そうやって見ていると、姿かたちはフィルにとてもよく似ていた。
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