イジワル執事と王太子は伯爵令嬢を惑わせる
初めて聞く話に、アディは怒りも忘れて目を丸くする。けれど、アディはルースに会った覚えがない。
「実際に会うことはなかったのですが、遠くからお見かけしておりましたよ」
なぜかルースは、意地悪そうに眼を細める。
「あなたに限らず、王太子妃候補に挙がった女性は全員、私が直接この目で確かめに行きました。他の令嬢はだいたいどこかのパーティーに行けばお会いすることができましたが、あなたはパーティーにもサロンにもいらっしゃらない。しかたなくこちらから街へと降りてみれば、当のあなたはすっかり街に溶け込んでおりましたし、挙句の果てに暴漢に飛び蹴りを食らわせてるし……」
「え?!」
思い返してみれば、アディには心当たりがあった。ありすぎた。
「実際に会うことはなかったのですが、遠くからお見かけしておりましたよ」
なぜかルースは、意地悪そうに眼を細める。
「あなたに限らず、王太子妃候補に挙がった女性は全員、私が直接この目で確かめに行きました。他の令嬢はだいたいどこかのパーティーに行けばお会いすることができましたが、あなたはパーティーにもサロンにもいらっしゃらない。しかたなくこちらから街へと降りてみれば、当のあなたはすっかり街に溶け込んでおりましたし、挙句の果てに暴漢に飛び蹴りを食らわせてるし……」
「え?!」
思い返してみれば、アディには心当たりがあった。ありすぎた。