イジワル執事と王太子は伯爵令嬢を惑わせる
「ええ。フィルは、私が幼い頃からの侍従です。背格好がよく似ていたので、私の身代わりにずっとベッドに突っ込んでおいて来客などの対応をさせていました。あの調子でちょくちょく抜け出すのが困りものですが」

 あの部屋があれほどに薄暗くされていたのは、ベッドの中にいるのが王太子本人でないことをばれないようにするためだったのだ。

「時間をかけて犯人をある程度まではしぼりこんだものの、どうしても中心人物が割り出せない。それで、王太子妃を選ぶ、と言って、彼らを王宮内に引き入れる作戦をたてたのです。疑いがあったのは、ネイラー男爵家の者とメイスフィール公爵の親族でした。ちょうどその両方に、年頃の令嬢がいたものですから。結局こちらの狙い通り尻尾をだして、すべて捕まえることができました」
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