イジワル執事と王太子は伯爵令嬢を惑わせる
アイスブルーの瞳に柔らかそうな金の髪。大きな手も変わらないけれど、雰囲気の違う彼はもう執事ではなかった。

「そ、それは、もちろん……」

「もちろん、何?」

 そう言って、ルースは、ちゅ、と音をたててアディの頬に口づけた。

「っ!」

「もう一度言えよ。さっき言った言葉」

「さっき?」

「愛しているとかなんとか聞いた気がするが?」

 ルースは意地の悪い笑みを浮かべて、瞬時に真っ赤な顔になったアディを見下ろす。

< 273 / 302 >

この作品をシェア

pagetop