イジワル執事と王太子は伯爵令嬢を惑わせる
ポーレットを使って、テオの暗殺を謀った男。アディはそう思っていたが、結局直接的な証拠がないことから、ウィンフレッドの罪は不問とされていた。

 知らず、アディの目がきつくなる。その様子に気づいたのか、ウィンがびくりと肩をすくめて苦笑した。

「そんな目でみないでくれ。僕は、テオをどうにかしようなんて思ってないよ」

「当然ですわ」

「僕じゃないんだ」

 ウィンは、少しだけうつむいた。

「テオを暗殺するためにポーレットが王宮にあがったなんて、僕は、知らなかった」

 その言葉が嘘か本当かはアディには判断できなかったが、どこか寂し気なウィンの表情が印象的だった。
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