イジワル執事と王太子は伯爵令嬢を惑わせる
とはいえ、王太子を暗殺した本人が無事でいられるわけがない。そんな簡単なことにも気を回らないほどにポーレットは思いつめていたのだろうかと、アディはその気持ちの深さに胸が痛くなる。
 その場の三人には、ポーレットが捨て駒に使われたのだとしか思えなかった。

 ポーレットの叔父を含む彼の親族数名が、今回の暗殺計画に関わっていた。その叔父は領地をすべて没収となり爵位もはく奪、他の関係者も同じ処遇を受けた。 

 ネイラー男爵本人は暗殺の事は知らなかったと言い張り、実際証拠もなかったので領地の減封だけですんだ。その言葉を本当だったと思うのは、アディの願望なのかもしれないが。

 男爵家の本家は、仲のいい大家族と評判だった。
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