エレディンの乙女と青龍の守護者
「乙女を取り戻す。」
瞳はまっすぐ前を向いている。
シュナインはそう言うなり、もう歩き出していた。
慌てた楽士や侍女たちが畏る。
アデルはぽかんと口を開けた。
驚きのあまり声が出なかった。
豪華な頭飾りが揺れ、スタスタと目の前を横切っていくのを慌てて追いかける。
「っかしこまりました、、策を練りましょう。」
アデルが他の者を呼ぼうと合図しかけたところで、
シュナインが制した。
「私の乙女だ。私が行く。」
実弟は今度は驚きで目を見開いた。
「殿下?!」
颯爽と歩く背中はどんな時よりも生き生きとしていた。