エレディンの乙女と青龍の守護者
優しい呼び声に顔を上げると、
神官がにこりと微笑んでいた。

「あ、ごめんなさいっ。」
「とんでもございません。

カティナ様、
あちらの建物が、青の神殿でございます。

どうぞお進みくださいませ。

今の風は強かったですね、
お着物のほうは、大丈夫ですか?」


「あ、、はい、大丈夫です。」
風よりも香りに意識が向いていたカティナは
自分の衣服に目をやった。
なんとかシーツをぐるぐる巻きにした上に
紺色のガウンを羽織った姿だ。苦笑しかない。
栗色の長い髪も風で乱れ広がっている。
それをざっくり片方の肩へまとめ寄せる。

「あの、神官様。

とても甘い香りがしたのですが、
あの花畑からでしょうか?」

微笑んで頷く。
「そうです。」
神官の微笑みは、心を和ませてくれるように優しい。
「あちらに見えますか?
白く美しいお花が。
カティナ様のお花ですよ。」
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