溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜

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「金曜、二宮からの誘いを断ったんだって?」


中華料理店でランチタイムを過ごしていた私は、目の前に座っている多恵の言葉に目を丸くした。
彼女は「残念そうにしてたよ」と言いながらも、なぜか楽しげな顔をしている。


「どうして知ってるの?」


二宮くんに誘われたのは金曜日の午後で、多恵はその日も部長と社外に出ると言っていた。
だから、週明け早々に情報が筒抜けだったことに少しだけ驚いてしまった。


「金曜の夜、二宮から電話が掛かってきたの。莉緒に振られてひとりで飲んでたみたいよ」


二宮くんが取った行動に、また驚く。
この週末は自分のことで精一杯だったけれど、彼はもしかしてなにか相談でもあったんだろうか。


「二宮くん、なにかあったのかな?」

「どうして?」

「私が訊いた時はなにもないって言ってたんだけど、ちょっと悩んでるようにも見えたし……。それに、多恵にも電話したなんて」


眉を下げた私に、彼女がクスッと笑った。

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