溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜
「そういうのじゃなくて、二宮は普通に飲みたかっただけだと思うよ。金曜の昼休みに莉緒と別れたあと、たまたま二宮と会ったんだけど、飲みに行く相手を探してたみたいだから『莉緒を誘ってみれば?』って言ったのよ。でも、莉緒に断れたから、電話はそのクレーム的な?」

「え? わざわざ? 多恵はなにも悪くないでしょ」

「うーん、ちょっとけしかけた節はあるかな」

「え?」

「あぁ、なんでもない。こっちの話。それで? どうして行かなかったの?」


小首を傾げた私を見て、多恵が慌てたように笑ったあとで質問してきた。
さっきの話が少しだけ気になりつつも、正直な気持ちを口にする。


「多恵も一緒ならよかったんだけどね。ふたりきりで飲んでて誰かに見られたら、困るでしょ。それより、振ったとか言わないでよ。飲みに行く誘いを断っただけだし、ちゃんと埋め合わせするって約束もしたんだから」

「ごめん、ごめん。でもまぁ、たしかに困るよね」


二宮くんの人気振りを知ってる彼女が、苦笑いを浮かべながら頷いた。

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