溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜
複合施設の高層階に位置するギャラリーは、そんなに広くはなかったけれど……。どれも工夫が凝らされていて、あっという間に夢中になった。


大きな窓の向こうに広がる景色をそのままフォトフレームに閉じ込めたようなオブジェや、どの角度にしても座れるという説明書きがあった変な形の椅子。
花壇から花や雑草に至るまで折り紙で作られたもの、そして片隅にある小部屋ではクラシック音楽とプロジェクションマッピングで宇宙が表現されていた。


「すごいですね」

「あぁ、これはおもしろいな。足元にも流れ星があるぞ」

「あ、課長! あそこにいるの、宇宙人ですよ!」


部屋そのものがリアルな宇宙空間を再現しているのかと思えば、突然可愛らしい宇宙人が現れたりする。
そんな遊び心満載のアートを目にしてまるで子どものようにはしゃいでしまっていると、不意に穂積課長が優しい眼差しを向けてきた。

瞬間、課長の瞳に捕らわれたかのように、視線が逸らせなくなる。

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