溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜
「知りたいです!」


はっきりと答え、さらに身を乗り出す。
じっと穂積課長を見つめる瞳は、絶対にそこから逸らさないと決めた。


もしかしたら、今からとても大切なことを聞せてもらえるかもしれない。
そのときには、紡がれる一言一句すべてを聞き逃さないのはもちろん、課長の表情だってほんの一瞬たりとも見逃したくはない。


密かに意気込み、ドキドキしながら待っていると、穂積課長がふっと破顔した。
それはそれは、思わず見惚れてしまうような艶麗な笑みで。


「じゃあ――」


課長に見入っていた私は、ハッとする。
意識をしっかりさせて聞こうと自分自身に言い聞かせた直後、私の視界がグラッと揺れた。


「きゃあっ……!」


体が宙に浮いたことに気づいたのは、そのすぐあとのこと。
なぜか穂積課長に抱き上げられた私は、気づけばベッドの上にいた。


「続きはベッドで聞かせてやるよ」


刹那、覆い被さってきた課長の甘やかな声が、心をふわりとくすぐった。

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