溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜
「……別に普通だ。順調に付き合ってるし、もうすぐ一緒に住むつもりだよ」

「ほう、それはそれは……。上司の権限でお気に入りの部下を口説き落とした挙句、多忙ですれ違う前に逃げられないようにするってか」

「おい、待て。お前の解釈は、激しく語弊があるぞ」

「なーにが語弊だよ! 青山さんの話をするときだけ緩んだ顔してたくせに、彼女の前では白々しくいい上司の仮面を被って接してたんだもんな? あー、純粋そうな青山さんが、お前の毒牙にかかったのかと思うと……」


芝居じみた口調で話す元康には、なにを言っても無駄だと悟る。
諦め混じりに枝豆を口に放り込むと、鷹の爪のピリッとした辛さのあとで、にんにくとオイルの旨みが舌にふわっと広がった。


「……これ、うまいな」

「だろ?」


からかい癖のある厄介な性格はともかく、やはり元康の料理の腕は確かだ。
一献をオープンさせるまでに、国籍を問わず様々な店で修業を積んでいただけのことはある。

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