溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜
「でもまぁ、両親が莉緒のことを気に入ってくれてよかった。母のことは心配してなかったが、父はあんな感じの人だからな」


お母様は、連絡先を交換する時に『ずっと娘が欲しかったから嬉しいわ』とまで言ってくれたけれど……。お父様――つまり社長は、とてもじゃないけれど、私のことを気に入ってくれたようには見えなかった。


「社長は、気に入ってくれたわけじゃないかと……」

「そんなことないよ。あの人、プライベートでは気に入らない女性にはとことん冷たいし、態度を繕うようなタイプでもないから。本当に莉緒のことを認めてなかったらあんな風には言わないし、笑ったりもしない。社長としてはどうなんだって話だが、仕事では人望はあるしね」

「確かに、社長を尊敬してる人は多いですよね。私はお見かけする機会もほとんどないですが、営業部でも社長の評判はいいですし」


智明さんの話を聞いても、にわかには信じられなかった。
それでも、彼がそう言うのなら、少しくらいは社長に認めてもらえたのかもしれない……と思えて、安堵感を抱いた。

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