溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜
「社長はまだ完全に認めてくださったわけじゃないと思いますけど、反対されなくてよかったです。私、どんな話をされるのかドキドキして、ずっと不安だったので……」

「緊張もしてたし、疲れただろ? 付き合わせて悪かったよ」

「いえ、それは全然いいんです。智明さんのご両親には会ってみたかったですし、結果的にもよかったと思ってますから」


社長を前にすると緊張したけれど、自分の気持ちを告げることはできたし、一応は認めてもらえたようだから、今日はとても充実した一日だった。
だから、私は心からそう思っていた。


「あぁ、そうだな。でも――」


私を見つめている彼が、ふと瞳をふわりと緩めた。
優しい眼差しにつられて微笑んだ直後、真剣な表情を向けられる。


「母はともかく、父になにを言われても、俺は引く気なんてなかったよ」

「智明さん……」

「だいたい、莉緒はなにもわかってないな」

「え?」


小首を傾げた私に、智明さんが苦笑を零す。
それから、彼は私の耳元に唇を寄せた。

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