溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜
「俺はもう莉緒を手放す気なんてないよ」


そっと囁かれた声音は甘く、それでいて真っ直ぐな想いが乗せられていた。
刹那、鼓動が大きく高鳴り、心臓がきゅうっと締めつけられた。


胸の奥から突き上げてくるのは、言い尽くせないほどの愛おしさ。
智明さんのことが大好きだと、心から思った。


「わ、私も……智明さんと離れるつもりはないです……!」


感動で泣きそうになりながらも震える声で伝えれば、再び目を合わせてきた彼が破顔した。
それは、とても幸せだと言わんばかりに、一縷の淀みもなかった。


「莉緒」


優しい声が、私を甘く呼ぶ。
それだけで、私は幸福感を抱いてしまう。


「愛してるよ」

「私も……愛してます」


笑みを浮かべる智明さんに、想いを込めて微笑んで見せる。
すると、嬉しそうに頬を綻ばせた彼が、私の唇をそっと塞いだ。


抱きしめられた体からは智明さんの体温を感じ、交わすキスは甘やかな愛を伝え合うように深くなっていく。
ドキドキと高鳴る鼓動はどちらのものかわからなかったけれど、ふたりで紡ぐ甘美な夜はいつものように幸せの匂いがした――。





【1】「俺はもう莉緒を手放す気なんてないよ」END
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