溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜
俺が社長の息子であることは、社内ではまだほんの一部の人間しか知らない。
再婚したことは社員も知っているが、それが元妻で、その女性には社長の血の繋がった子ども(おれ)がいることを知っているのは、上層部の中でも社長が信頼している人間だけだった。


莉緒も誰にも話していないのは知っていたが、これからは彼女の負担も大きくなる。
そのとき、相談できる相手がいないというのはつらいだろう。


俺や母ではなく、莉緒が信頼できて頼りやすい友人に相談できる環境が整っていれば、彼女の負担も少しは軽減できるはずだ。
そう判断し、莉緒にそういう人物がいるかと尋ねたところ、山口と二宮の名前が挙がったため、俺はふたりに俺のことを話すように言ったのだ。


山口の話はよく聞いていたし、彼女とランチを摂ることが多いのも知っていた。
莉緒と付き合う前から、ふたりが一緒にいるところはよく見かけていたため、山口の名前が出ることも予想していた。


だが――。

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