溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜
「来期から、二宮くんには俺の顧客をもう少し引き継いでもらいたいんだ」

「え?」

「まずは、松井田病院と……それから、あと二件ほど考えてる。二宮くんが今抱えてる顧客の一部を他の誰かに任せて、二宮くんには大口を担当してもらいたい」


冷静に伝える俺に、二宮は困惑しているようだった。
よく見せる人懐っこい笑みはなく、真剣な面持ちをしている。


「それは、構いませんが……。でも、松井田病院もですか? あそこは部長じゃないと――」

「昨日、莉緒から話を聞いたんだよね?」

「……は、はい」


俺の言葉に、彼は戸惑いながらも頷いた。
まだ理解が追いついていないようにも見えるが、今後のためにもそれでは困る。


「俺の今後については省略するが、昨夜二宮くんが莉緒から聞いた通りだよ」


莉緒は昨夜、秘書課の山口と二宮とともに飲みに行った。
その際、俺の今後について伝えておくように言い、莉緒はふたりに打ち明けたようだった。

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