極上ショコラ〜恋愛小説家の密やかな盲愛〜【コミカライズ配信中】
「お前も言えよ、好きって」
ふわり、柔らかい笑みが落とされる。
「ほら、雛子」
こんなにも優しげな表情を見せられた記憶はなくて、ここぞとばかりにそんな顔をする篠原はやっぱりずるい。
「ん?」
そんな風に思っていても、促すように微笑む彼を前に、単純な胸の奥がトクンと高鳴って──。
「好き……」
小さく小さく、だけど溢れる想いをはっきりと声にした。
途端、ゆるりと緩められた瞳が、私の心をギュッと掴む。
「……ふざけるな。一年以上かかって、たったそれだけかよ」
不満げな言い方だったけれど、私に向けられる表情はとても幸せそうだった。
こんな風に私の心を捕らえて離さないひとを、心の底から愛おしいと思う。
逃げたくて、逃げられなくて。
そんな始まりを人生最大の失態だと思っていたことなんて、もうすっかり忘れてしまっていて。
篠原と付き合うなんて考えたこともなかったのに、今となっては彼のいない人生の方が考えられない。
そして、身を焦がすような恋を知った私は、きっともう葛城龍司から離れられない。
こんなにも心を捕らえるのなら、もういっそのこと骨の髄まで溶かして欲しい……。
それ故に、頭の片隅でそんな病的なことまで考えてしまっている自分自身に、自嘲混じりの笑みが零れた。
ふわり、柔らかい笑みが落とされる。
「ほら、雛子」
こんなにも優しげな表情を見せられた記憶はなくて、ここぞとばかりにそんな顔をする篠原はやっぱりずるい。
「ん?」
そんな風に思っていても、促すように微笑む彼を前に、単純な胸の奥がトクンと高鳴って──。
「好き……」
小さく小さく、だけど溢れる想いをはっきりと声にした。
途端、ゆるりと緩められた瞳が、私の心をギュッと掴む。
「……ふざけるな。一年以上かかって、たったそれだけかよ」
不満げな言い方だったけれど、私に向けられる表情はとても幸せそうだった。
こんな風に私の心を捕らえて離さないひとを、心の底から愛おしいと思う。
逃げたくて、逃げられなくて。
そんな始まりを人生最大の失態だと思っていたことなんて、もうすっかり忘れてしまっていて。
篠原と付き合うなんて考えたこともなかったのに、今となっては彼のいない人生の方が考えられない。
そして、身を焦がすような恋を知った私は、きっともう葛城龍司から離れられない。
こんなにも心を捕らえるのなら、もういっそのこと骨の髄まで溶かして欲しい……。
それ故に、頭の片隅でそんな病的なことまで考えてしまっている自分自身に、自嘲混じりの笑みが零れた。