極上ショコラ〜恋愛小説家の密やかな盲愛〜【コミカライズ配信中】
情けなくて、ため息が漏れそうになる。
だけど、言ってしまったことは消せないし、こうなったら開き直ってでもこの勢いに乗るしかないと自分自身に言い聞かせ、戸惑いや後悔を隠して雛子の瞳を見据えた。


驚嘆の表情のままの彼女が、言葉も出ないほど驚いてしまっているのが見て取れる。
それでも、俺から視線を逸らすことのない瞳は、俺の言葉をじっと待っているようにも思えた。


「ずっと俺の傍にいろよ。意地っ張りで可愛げがなくても、生真面目で融通が利かなくても、俺の傍にいさせてやる」


我ながら、ひどいプロポーズだな、と思う。
意地っ張りなのも融通が利かないのも、今となっては俺の方だ。


「……なんですか、それ」


訪れた短い沈黙を破ったのは、雛子の怪訝そうな声だった。
眉を僅かに寄せている彼女の言葉はもっともだけれど、なんとかこのまま押し通すつもりでいる俺は、これみよがしに呆れた表情を浮かべて見せる。


「プロポーズに決まってるだろ」

「恋愛小説家って、自分のプロポーズは下手なんですね」

「おい……」


悪態をついた雛子に返す言葉を探すよりも早く、目の前の頬が紅潮していることに気づいて唇が止まる。
同時に、僅かに伏せられた瞳と寄せられた眉が見せる微妙な表情は、照れ臭さを誤魔化すためだと察し、ふっと苦笑が漏れた。

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