この恋を金木犀のせいにして
「ごめん、律希」
無意識に私の口から飛び出した言葉。
シャーペンを握る手に、ぎゅっと力が入る。
随分と勝手なことをした。
恋は盲目っていうけど、危ない恋は目も、耳も、頭をもダメにする。
もう、元になんて戻れないのに。
「…なぁ、俺が1年前お前に告白したとき、どんな顔してたか覚えてる?」
「……」
覚えてるに決まってる。
1年前、確か金木犀がキレイに咲いていた時期だった。
帰り道、突然律希に想いを告げられたあの日のこと。
私はもう既に壮真の毒牙にかかっていたから、律希の思い通りの返事はしてあげられなかったけど。