あなたが居なくなった日。
それ程不思議でたまらないのだろう。
まあ気持ちは分かる。
小さい頃から人見知りを極めている私がわざわざ土曜日に学校へ行くだなんて初の試みなのだ。
そんな私がこれから会いに行くのが楓じゃないだなんて、しかも男の子だなんて、そんなことを言ったら(こう言っちゃ失礼だけど)面倒くさいことになりそうだもん。
「あまり遅くならないようにしなさいね」
そんなお父さんとは打って変わってお母さんはもう驚きを消化して平然としている。
見た目で言えばどう比べてもお父さんの方が強そうだけど、きっと無人島に流れ着いて生き延びるのはお母さんの方だろうな。
未だに口を開きっぱなしのお父さんを横目にそんな事を思った。