あなたが居なくなった日。

「あ、ごめん。あの、忘れて?

でもそうかぁ、三咲ちゃんは僕の歌が好きかぁ。ふーん?」

まだどこが好きかなんて一言も言ってない、って言うか一度好きだと伝えただけなのに新田くんはとても満足そうにしている。

そんな反応されちゃうとさ?

「新田くんの歌はね、なんだか温かいんだ」

新田くんははたっと興奮を抑えて私を見る。

「なんだかね、聴いてると力が貰えるの。

落ち着くとかリラックスとは違うんだけど『あ、私も頑張らなきゃ』って『うん、頑張れる』ってそう思わせてくれるの。

もちろん押し付けるみたいに威圧的でなくてね?

歌声と同じにスっと馴染むの。

そうやって新田くんの歌声は私の耳と心に自然に満ちていくの。

その感覚が好き。いいなって思う」
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