あなたが居なくなった日。

『〜〜……』

まだまだ不平を話し足りない楓の口を塞ぐように、スピーカーからは声楽科の声が流れ出る。

「ねえ?そろそろじゃない?」

「そうかも」

それにしっかり耳を傾けながら楓と私は小さく言葉を交わす。

そう、多分もうすぐなのだ。

楓は夏の間にお昼の演奏という責務を終えていた。

私はと言うと、実はまだなのだ。

まだその責務を果たしていない。

本来ならため息ものの事実だけど、どうしてか私の気持ちはそれ程下がってはいなかった。
< 339 / 425 >

この作品をシェア

pagetop