旦那様は溺愛至上主義~一途な御曹司に愛でられてます~
「黙っていてごめんなさい。嫌なら、縁談は断ってもらってかまわないですから」

「ちょっと待って」

「私なにもいいところがありません。性格だって暗くて卑屈だし、たいして可愛くもないし」

「なあ、俺は別に……」

「どう考えても成暁さんに相応しくありません。もっと外見も内面も綺麗な人が」

 喋っている途中で突然成暁さんの長い指が私の顎を掴み、上を向かされると唇を塞がれた。息が続かなくてくぐもった声が漏れる。

 興奮していた心はすぐに静まり、代わりに激しく心臓が鼓動し始める。

 押し付けるだけのキスをして、成暁さんの唇はすぐに離れた。

「ちょっと黙って」

 成暁さんは、はあ、と溜め息をつく。

「そりゃあ香澄の身体を早く見たいとは思っているけど、別に身体目的ではないし、だから傷がどうのとか関係ないよ。もちろん、どんな香澄だって受け入れる。卑屈なところがあるのかもしれないけど、俺はそんな香澄も可愛いと思う」

 成暁さんは優し過ぎる。

 大切な人を失った時の喪失感を知っているからこそ、誰かに依存なんてしたくないのに。
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