旦那様は溺愛至上主義~一途な御曹司に愛でられてます~

 震える指先でボタンを締めてから、たっぷりと時間を使ってから口を開いた。

「見ましたか?」

 成暁さんは目を逸らして「ああ」と言う。

 そっか。見られちゃったんだ。

 もちろん、いつかは話さなくちゃいけないと思っていたけど。

「気持ち悪いものをお見せしてすみません」

「え?」

「事故の時にできた傷です。ケロイド体質みたいで、色は周りの皮膚と変わらないくらいにはなってきましたけど、盛り上がった皮膚はどうしようもなくて」

 冷静に話そうとしているのに唇は微かに震えている。

「胸と、二の腕と、あとお腹にも細かな傷がたくさんあります」

 もしかしたら傷のことも事前に知られているかもと思っていたけど、成暁さんの複雑そうな表情を見る限り知らなかったようだ。

「だから夏でも長袖を着ていたんだね」

 私のこと、本当に眺めていたんだ。

 嬉しくなりつつも、彼に隠し事をしながらお見合いを続けていたことに罪悪感を抱く。

 成暁さんは私を傷つけないように言葉を選んでいるようで、僅かな沈黙が落ちた。
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