旦那様は溺愛至上主義~一途な御曹司に愛でられてます~
早乙女さんが反対方向に歩き始めたのを見送って、成暁さんがこちらに歩んでくる。
祥子が声を高くする。
「わ! こっちくるよ!」
私たちの前で足を止めた成暁さんが、ふたりににこやかに話しかけた。
「先日お会いした宝来ですが、覚えていらっしゃいますか?」
「はい! もちろんです!」
ゆみかが食い気味に答える。
「こんなところで会うなんて偶然ですね。三人でお食事ですか?」
「いえ、香澄ちゃんはここで帰ることになっていて」
ゆみかの言葉に成暁さんは横目で私を見た。
もしかして、私たちが揉めていたの聞こえたのかな……。
「宝来さんはお仕事ですか?」
ゆみかは先程まで早乙女さんがいた方に視線を投げる。
「ええ。そうなんです」
「そうなんですね。休日なのに大変ですね」
ゆみかは安堵したように表情を緩めたけれど、私の顔は強張ったまま。
仕事? 今日は野暮用があるって朝にメッセージもらったよ?
それとも急に仕事が入ったのかな。私も家の手伝いをする予定だったのが、こうして外に出てきているのだから。