旦那様は溺愛至上主義~一途な御曹司に愛でられてます~
「それにしても……」

 成暁さんが私を見下ろす。

「今日は寒いんだから、こんな薄着で出歩いちゃダメだろう」

 えっ。

「俺のジャケット羽織っていくか?」

「いえ、お気持ちだけで……」

「帰ったらすぐに身体を温めるように」

「は、はい」

 なにこれ。

 成暁さんの態度に困惑していると、腕が伸びてきて毛先を掴まれた。

「髪食べてるぞ」

「あ、すみませ……」

 成暁さんが甘いのは基本的にふたりきりの時に限る。それなのに今日は何故か、ゆみかたちの前でも披露してしまっている。

「香澄は昔からこんなに可愛かったんですか?」

 成暁さんの言葉に、ゆみかは「へ?」と、間抜けな声を出した。

 本当にどうしたの!? もしかして熱があるんじゃ!?

「変なことを聞いてしまいましたね。どうも彼女のことになると自我を失ってしまうところがありまして。告白の返事を貰う前に嫌われなければいいのですが」

 ひとりだけ愉快そうに「あはは」と笑う姿を、私たちは唖然として見つめる。

 ちょっと成暁さん。なに言っちゃってるの。
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