旦那様は溺愛至上主義~一途な御曹司に愛でられてます~
「ということで吉岡さん。申し訳ないんだけど、残業してもらってもいいかな?」

「は、はい」

「なるべく早く行けるよう努力するから」

「あ、いえ。そんな、お気遣いなさいませんように……」

「ありがとう」

 私のなけなしの心配りに、宝来部長は優しく微笑んだ。

 綺麗な笑顔を見せられて心臓がドキッと鳴る。イケメンとの接触はとても心臓に悪い。

 宝来部長は腕時計に目を落とすと、私たち三人を見回す。

「残ってもらって悪かったな。遼平は時間大丈夫か?」

「おー」

 長谷川さんは軽い調子で返事をすると、「よいしょ」と言いながら立ち上がる。

「それじゃあ、ご飯はまたの機会にね」

 長谷川さんは私に向き直ってにこやかに微笑んだ。すぐさま隣に立つ宝来部長の盛大な溜め息が聞こえる。

 私は曖昧に微笑んでおいた。

 真逆に見えるこのふたりの仲がいいなんて、信じられないなぁ。

 彼等を見送ってから、佳奈さんと会議室の片付けをして工房へと戻った。
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